アーティスト三島 友希の活動、作品の断片をご覧ください。
私個人の作家性と講師としての態度は、やはり分けることはできないものだと思っています。

不安定で頼りない身体のイメージや輪郭みたいなものを、衣服によって確かにしてくれる時がある。

中村洋装、中村氏の服は着る人各々のサイズやタイプを明確にし、経験から培われた技術の上で直観的にパターン化する。そのプロセスを経て布地を裁断、縫製された服は「わたし」の俯瞰的イメージを皮膚感覚で知らせてくれる。

 ある時、氏に巨人のドレスを依頼した。そのドレスの中に入り、夜の海みたいな暗闇を彷徨って、淡くひかる場所に向かって顔を出すと、思い出せないくらい前にみたような色彩や光がかたちとなって現れた。

 私はこの体験を忘れないよう、親族が残してくれた生地を支持体に、昔話として語り継がれてきた一場面と記憶とを重ねる試みをした。

 巨人が着るためのドレスは、中央の生地が解体されもつれた状態で対となっている。

 これらは忘れてしまいたくない記憶を留めておくためにつくられた、物語の断片である。

https://www.yukimishima.com/2016